グルテンフリーは小麦をやめればOKじゃないってホント?

2018年3月21日

「~フリー」というのは「~なし」という意味だ。

だから、「グルテンフリー」は「グルテンなし」だ。

グルテンは小麦に入っていることは有名だ。

だが、グルテンは小麦だけに入っているのだろうか?

グルテンフリーは、
小麦をやめさえすればOKなのだろうか?

小麦アレルギーという病気があるが、
セリアック病は小麦アレルギーなのか?

グルテン不耐症という言葉もあるが、
これはセリアック病とは違うのか?

こんな疑問だらけのグルテンフリーをわかりやすく整理した。

グルテンとは?

グルテンとは、すべての穀物に含まれる、
タンパク質の混合体。

プロラミン系タンパク質と、
グルテリン系タンパク質が、
二大勢力だ。

二つのうち、
プロラミン系がセリアック病と深く関係している。

ちなみに、タンパク質は、外来語じゃないのに、
なんでカタカナをよく見かけるのだろう?

答えは、こちら。
「たんぱく質」か?「タンパク質」か?

グルテンは、
網目とそこにからまった粒、
という構造をしている穀物特有のタンパク質だ。

とてもわかりやすい図があったので拝借した。
出典はこちら。
CODEX / FDA グルテンフリー表示に関する検査のご案内

小麦粉に水を加えてこねると、
ねばねばもちもちした塊ができてくる。

sourdough produced by gluten

あれは、二大勢力の、
グルテリン系タンパク質と、
プロラミン系タンパク質があると、
できてくる。

グルテリン系タンパク質と、
プロラミン系タンパク質は、
小麦以外の麦にも含まれる。

小麦以外、
とうもろこしや
米にも含まれる。

小麦以外にもグルテンが含まれる?

小麦以外にもグルテンは含まれる。

グルテンのうち、セリアック病と関係している
プロラミン系タンパク質をまとめてみた。

表:穀物別プロラミン系タンパク質

穀物

プロラミン系タンパク質

全タンパク質に占める割合

タンパク質が占める割合

100g当たりのプロラミン系タンパク質

小麦

グリアジン

69%

14%

10g

ソルガム

カフィリン

52%

11%

6g

大麦

ホルデイン

46~52%*

12%

6g  *49%で計算

とうもろこし

ゼイン

55%

9%

5g

ライ麦

セカリニン

30~50%**

10%

4g **40%で計算

ミレー

パニシン

40%

11%

4g

オーツ

アベニン

16%

17%

3g

オリゼニン

5%

3%

0.2g

小麦は、全タンパク質に占めるプロラミン系タンパク質が
もっとも多い。

小麦に占めるタンパク質全体もオーツ麦の次に多い。

100gあたりのプロラミン系タンパク質の量で比べた場合、
小麦がもっとも多い。

とうもろこしは、小麦の半分。
米は、50分の一だ。

とうもろこしや米は、
小麦に比べれば、
プロラミン系タンパク質は少ないが、
ゼロではない。
ここがポイントだ。

言いたいのは、
グルテンフリーは、
小麦抜きだけでは完成しないということだ。

グルテンは、小麦以外の麦はもちろん、
とうもろこしや米にも入っている。

つまり、小麦なしだけでは本当の意味での
グルテンフリーにならないわけだ。

本当の意味でのグルテンフリーは、
グレインフリーだ。
グレインは穀物。
穀物なしならば真のグルテンフリーだ。

グルテンナントカという名称と定義

グルテンを冠した病気みたいな名前はいくつかある。
病気として定義が固まっていないので、
ここでは名称と言っている。

名称

定義

グルテンアレルギー

いわゆるアレルギー。免疫を介した反応

グルテン不耐性(症)

グルテンに耐えられないこと。免疫は介さない

グルテン敏感性(症)

アレルギーと不耐性を合わせたような概念

グルテンアレルギー

まず、小麦アレルギーと似ている名前で、
グルテンアレルギーがある。

免疫メカニズムがきっかけで起こる反応だ。

アレルギーを引き起こす免疫反応は、
みるみるうちに体の調子が悪くなっていく作用を引き起こす。

本来は、何か外からの敵、
たとえば寄生虫に反応するメカニズムなのに、
寄生虫がいなくても、
勝手に動き出して暴走してしまった状態。

免疫グロブリンE(IgE)という抗体が関係している。
ちなみにE以外にも、AとかGとかMとかある。

グルテンだけに反応するならばグルテンアレルギーと言う。
小麦のなんの成分かわからないけど反応するのなら、
小麦アレルギーと言う。

グルテン不耐症

乳糖不耐症なんかと同じような名前で、
グルテン不耐症という名前もある。
まだ病気として定義が固まっていないことを尊重して、
かつ、英語を直訳するなら、
グルテン不耐性のほうがいい。

これは文字通り、
グルテンに耐えられないことだけで、
きっかけは免疫を介していない。

グルテン敏感性

三つ目のグルテン敏感性は、
聞いたことないかもしれない。

グルテン敏感性は、
Gluten Sensitivityを直訳したもので、
これも病気として確立しているわけではないから、
敏感症はカッコにした。

グルテン敏感性は、
グルテンアレルギーとグルテン不耐性を
合わせたような概念と思ってもらえればいい。

免疫がきっかけであろうが、
最初は免疫が関係なかろうが、
グルテンによって体に不調が出ている状態ということだ。

これだとすごくすっきりする。

セリアック病との関係と概念の進化

グルテン敏感性とセリアック病は、
どんな関係にあるのか?

概念=考え方・とらえ方が、
これまでと違ってきている。

従来は、グルテンに敏感な状態は、
セリアック病で唯一無二だと思われてきた。

最近では、グルテン敏感性はもっと広く、
セリアック病は、グルテン敏感性の一部の
特殊な状態と考えられている。

セリアック病の確定診断は、
これまで小腸の生検が
もっとも正確で必要不可欠と考えられてきた。

またグリアジンに対する抗体検査も併用されてきた。

新しい考え方では、HLA-DQ検査と症状だけで、
グルテン敏感性と判断できる。

HLAとはHuman Leukocyte Antigenの略で、
白血球の膜にある目印だ。

HLAのうちDQと呼ばれる種類がセリアック病に関係する。
正確にいうと、セリアック病と診断された人は、
必ずDQ2かDQ8という遺伝子型なのだ。

要は、DQ2かDQ8の遺伝子型で、
グルテン敏感症の症状があれば、
セリアック病と診断してもいいのでは?
ということだ。

症状については、
これまでセリアック病では、
おなかを壊すとか腹痛が出るなどの
おなかの症状が中心で、それ以外の症状はまれだと考えられてきた。

しかし、グルテン敏感性では、
おなか以外の症状だけの場合がある。
セリアック病が疑われなくても、
グルテン敏感性は存在する。

症状から見当違いの病気に診断されていたら、
いつまでもよくならないわけだ。

グルテンが原因なら、
セリアック病でなくても、
グルテンフリーが効くはずで、
違う病気の治療薬ではよくならない。

免疫を介す経路とは?

免疫反応を介すものがアレルギーだ。
アレルギーには、
すぐにやってくる急性のものと、
遅れてやってくる遅発性のものがある。

急性の反応はIgEという抗体が、
腫れて、熱を持って、痛みを出す、
炎症を引き起こす。

遅発性の反応はT細胞と呼ばれる免疫細胞の反応や、
IgG, IgA, IgMという名前の抗体による反応、
グルテンと抗体が結合した免疫複合体が作られた結果、
炎症が起きてくる。

こうして、体にダメージが加えられ、
やがて病気となって表れてくる。

IgEがどのくらいなのかは、
アレルギー科で受ける、
皮膚に小さな傷をつける検査でわかる。

IgG抗体のレベルを測定するのが、
いわゆるセリアック病の血液検査だ。

免疫を介さない経路はどうなってるの?

グルテン不耐性は、
Gut dysbiosisとゾヌリンによる
leaky gutが原因となる。

Dysbiosis(ディスバイオーシス)とは、
腸内細菌叢(ちょうないさいきんそう)の、
細菌の種類構成が異常状態のこと。

種類が減って単純な構成になってしまったり、
普通少なくていい種類の細菌が異常に増加したり、
いつもは大半を占めている種類の細菌が減ってしまったり、
ということだ。

一方、ゾヌリンが作られても、異常をきたす。
ゾヌリンは、腸を内側から守っているタイトジャンクションを
緩める働きをする。
「タイト=きつ」から「ゆる」ジャンクションにしてしまうタンパクだ。

タイトジャンクションがゆるむと、
タンパク質が大きいまま、
あたかも腸から漏れ出るように、
体に取り込まれてしまう。

Dysbiosisとゾヌリンによって、
Leaky gutが起きてくる。

Leaky gut(リーキーガット)とは、
あたかも漏れ漏れの管のような腸になっている状態を指している。

ほんとならもう少し分解して
小さくなったタンパク質が体に取り込まれるはずなのに、
大きいままのタンパク質が取り込まれるため、
不必要な免疫反応が起きてくる。

その結果、体にダメージが加えられ、
病気として表れてくるわけだ。

まとめ

まとめると、
グルテンは小麦だけでなく、
どの穀物にも少なからず入っている。
小麦がもっともグルテンが多い穀物というだけだ。

グルテンが引き起す不調の状態は、
免疫をきっかけにして起こるグルテンアレルギーと、
免疫以外のきっかけで起こるグルテン不耐性があり、
それらを合わせてグルテン敏感性と呼ぶ。

おなかの症状にとどまっていたセリアック病の概念は広がっていて、
いまやおなか以外の症状も呈するグルテン敏感症と言ってもいい。

必ずしも腸の生検は必要ではなく、
遺伝子型と症状で診断してもよい新時代に入っている。

参考動画

 

2018年2月12日追加

ブログの内容を説明した動画。こちらも参照のほど。